016:シャム双生児(Xeno 赤白)



離れていても、何となく分かっていた。あいつが生きているということが。
既に無いはずの右胸の心臓が、時々キリリと痛む事がある。そんな時はきっと、あいつが何かに脅えたりしている時だ。昔から少しも変わっていない。臆病で、短気で、泣き虫で、他人を嫌いながらも人を渇望して止まない。そして、死に脅えながらも死に憧れる。
死ぬ事の出来ない身体と成長出来ない身体は、見た目は違えど同義だ。周りの人間が年老い、死んで行くのをただ見ているしか無い。
けれど、成長出来ない身体は死ぬ事は出来る。あいつはそれが出来ない。
遠い宇宙のどこかで、身体は離れていてもどこかで繋がっている俺とあいつ。右胸が疼く度に、あいつの心の痛みを知る。

あいつが解放される事を望みながら、俺はあいつを自分の隣に縛り付けたいとも思う。望むなら、また生まれた時のように、くっついて生きて行ってもいい。俺はあいつの半身だから。
…いや、本当は恐いのだ。あいつを失う事が。

今日も死を夢見てあいつは眠るのだろうか。